Vol.67 No.3 May 2019
総説
HIV感染症治療の現状
東京大学医科学研究所附属病院感染免疫内科*
要旨
新規のHIV感染者数は世界で年間約180万人,日本での報告数は約1,500人である。抗HIV治療はCD4陽性Tリンパ球数にかかわらず,できるだけ早期に開始する。推奨される組み合わせは複数あるが,HIV抑制効果にほとんど違いはなく,どの組み合わせでも副作用は軽微である。HBV感染の有無,併用薬との相互作用,HLA-B57の有無などを確認し,患者の生活習慣なども考慮して適切な薬剤を選択する。2剤併用療法の効果についてはまだ不明な点が多いが,今後の重要な選択肢となる可能性を秘めている。HIVワクチンが開発されていない現状では,HIVに感染するリスクが高い集団に対して曝露前予防(Preexposure prophylaxis:PrEP)という対策も提唱されている。
Key word
antiretroviral therapy, AIDS, CD4-positive T-lymphocyte
別刷請求先
*東京都港区白金台4-6-1
受付日
2018年8月31日
受理日
2018年12月13日
日化療会誌 67 (3): 348-354, 2019