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書誌情報

Vol.67 No.4 July 2019

総説

敗血症診療の最前線

藤谷 茂樹, 尾崎 将之

聖マリアンナ医科大学救急医学

要旨

 敗血症の死亡率は高く,その低減には早期発見と適切な治療が不可欠である。敗血症では感染に対する制御不十分な生体反応により生命に危機を及ぼしかねない臓器障害が生じている。呼吸や循環動態の悪化を早期に察知し医療チームが治療介入することにより病態の悪化を防止するRapid response systemの導入がわが国で進みつつある。また,早期発見のためのツールとしてバイタルサインから重症度を算出するスコアリングシステムも使用されている。敗血症治療の原則は感染巣のコントロールと迅速な抗菌薬投与である。同時に呼吸と循環の安定をはかり各臓器への酸素供給を維持する。これらの努力により近年敗血症の死亡率は低減傾向にある。そのような中で敗血症に代表される重症疾患から回復した方の身体的・精神的な障害が増加傾向にあり,集中治療後症候群と呼ばれている。敗血症診療においては急性期の治療成績向上のみならず長期予後を見据えた診療の質向上も期待されている。

Key word

septic shock, early recognition of sepsis, rapid response system, fluid resuscitation, post-intensive care syndrome

別刷請求先

神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1

受付日

2018年9月28日

受理日

2019年1月8日

日化療会誌 67 (4): 438-445, 2019