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書誌情報

Vol.67 No.5 September 2019

総説

薬剤師主導の抗菌薬適正使用支援活動―抗菌薬適正使用支援の有用性と病棟専従薬剤師を中心とした活動体制の構築―

佐村 優

横浜総合病院薬剤科

要旨

 本邦で2017年8月に8学会合同抗微生物薬適正使用推進検討委員会より発表された「抗菌薬適正使用支援プログラム実践のためのガイダンス」では,薬剤師を主要構成メンバーに加えたantimicrobial stewardship team(AST)の発足とともに専門資格を有している薬剤師が中心となる活動を推奨している。横浜総合病院は300床,7病棟の中規模病院で,感染症専門医は常勤しておらず,非常勤の感染症専門医が1名勤務しているのみであるが,2012年度より薬剤師主導の抗菌薬適正使用支援を開始した。主な活動内容としては,血液培養陽性例および重症感染症例を中心とした抗菌薬適正使用支援,一部の感染症における治療プロトコールの作成,プロトコールに基づく薬物治療管理による抗菌薬の薬物治療モニタリングの導入,感染対策チームとの連携による血液培養採取の推進などの取り組みを通じた抗菌薬適正使用支援を行っている。また,継続的に抗菌化学療法認定薬剤師の養成を行い,各病棟に配置することで,ASTの活動と病棟における抗菌薬time outs(抗菌薬開始後72時間程度で感染症の種類,抗菌薬選択,用法・用量,投与経路,de-escalationの可否,治療期間などを評価)の充実を図ってきた。
 一般的にAST活動は人数,活動時間の制限があるため,主治医と良好な関係を構築している病棟専従薬剤師は抗菌薬適正使用支援におけるキーパーソンとなり得ると考えられる。また,各病棟に抗菌化学療法認定薬剤師を配置することによって,抗菌薬適正使用支援活動の充実を図ることが可能となり,プロセス指標,アウトカム指標の向上に寄与できる可能性がある。特に,感染症専門医が不在の施設における抗菌薬適正使用支援活動では,病棟専従薬剤師の果たすべき役割は大きいと考える。

Key word

antimicrobial stewardship, infectious disease chemotherapy pharmacist, bacteremia

別刷請求先

神奈川県横浜市青葉区鉄町2201-5

受付日

2018年9月19日

受理日

2019年3月4日

日化療会誌 67 (5): 543-555, 2019