ページの先頭です
ホーム > バックナンバー > 目次 > 書誌情報
言語を選択(Language)
日本語(Japanese)English

書誌情報

Vol.67 No.5 September 2019

症例報告

内視鏡的乳頭切開術と結石除去術が有効であったceftriaxoneによる偽胆石症の1例

岩淵 佑1), 新屋 智之1), 加賀谷 尚史2), 酒井 珠美1), 内田 由佳1), 木村 英晴3), 笠原 寿郎3), 北 俊之1)

1)金沢医療センター呼吸器内科
2)同 消化器内科
3)金沢大学附属病院呼吸器内科

要旨

 Ceftriaxone(CTRX)による偽胆石症は,多くの場合CTRXの中止のみで改善する。今回,病態が遷延し,内視鏡的乳頭切開術(endoscopic sphincterotomy,EST)と結石除去術が有効であったCTRXによる偽胆石症を経験したため報告する。症例は84歳,女性。発熱と咳嗽を主訴に当院を受診し,血液検査,画像所見から気管支肺炎と診断された。入院のうえでCTRX 2 gの点滴静注を連日行った結果,自覚症状と検査所見の改善を認めたため,第7病日でCTRXは終了した。しかしながら,第9病日に右季肋部痛を自覚し,肝胆道系酵素の上昇と腹部CTにおいて入院時に存在しなかった胆嚢結石および総胆管結石を認めた。臨床経過よりCTRXによる偽胆石症と診断して経過観察したが,右季肋部痛が遷延したため偽胆石症による胆嚢炎および胆管炎の合併と診断して,第11病日に内視鏡的逆行性胆道膵管造影を施行した。ESTとバルーンによる結石除去術を施行したところ,翌日に肝胆道系酵素は低下し,以降速やかに正常化した。ESTから3週間後の腹部超音波検査でも胆嚢結石および総胆管結石は消失し,再燃を認めなかった。CTRXによる偽胆石症には,経過観察のみで改善せずに内視鏡治療などの積極的な治療が必要となる症例もあるため,注意を要する。

Key word

ceftriaxone, pseudolithiasis, sphincterotomy, stone extraction

別刷請求先

石川県金沢市下石引町1番1号

受付日

2019年3月4日

受理日

2019年4月10日

日化療会誌 67 (5): 591-596, 2019