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書誌情報

Vol.68 No.1 January 2020

総説

薬剤の使用動向の指標を用いて薬剤師がすべき薬剤耐性菌対策

中村 安孝1), 山田 康一2), 掛屋 弘2), 永山 勝也1)

1)大阪市立大学医学部附属病院薬剤部
2)大阪市立大学大学院医学研究科臨床感染制御学

要旨

 抗菌薬使用に関するサーベイランスは,薬剤師の大きな役割の一つである。抗菌薬の使用量(Antimicrobial usage:AMU)は,1日使用量,使用期間,使用人数の3つの要素から構成され,Defined daily dose(DDD)によるAntimicrobial use density(AUD),Days of therapy(DOT),AUD/DOT等が評価指標として臨床応用されている。これら3つの指標を相互に判断することで,AMU変化の要因について明確にすることが可能であると考えられている。
 本稿では,大阪市立大学医学部附属病院(以下,大阪市大病院)で算出したAUD,DOT,AUD/DOTを例に挙げてその考え方について解説し,また,抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial stewardship team:AST)活動のアウトカム評価におけるAUD,DOT,AUD/DOT評価事例について報告する。
 1日使用量,使用期間,使用人数は,薬剤耐性菌対策の評価項目であるが,本結果のみで抗菌薬適正使用の是非を決めることはできない。ただし,これまで主流であったAUDにDOTを組み合わせて解析することで,ASTの介入効果がより適切に評価されると同時にAUD,DOT,AUD/DOTの情報が臨床現場と共有され,抗菌薬の適正使用に役立つと考えられる。

Key word

antimicrobial stewardship team, surveillance, antimicrobial use density, days of therapy

別刷請求先

大阪府大阪市阿倍野区旭町1-5-7

受付日

2018年8月2日

受理日

2019年9月18日

日化療会誌 68 (1): 125-131, 2020