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書誌情報

Vol.68 No.4 July 2020

原著・臨床

基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBLs)産生グラム陰性菌菌血症に対する抗菌薬療法の治療期間とアウトカムに関する検討:単施設後方視的調査

中蔵 伊知郎1, 2), 今西 嘉生里1, 2), 廣田 和之2, 3), 坪倉 美由紀2), 上平 朝子2, 3), 宮部 貴識1), 佐光 留美1), 山内 一恭1)

1)国立病院機構大阪医療センター薬剤部
2)同 感染制御部
3)同 感染症内科

要旨

 基質拡張型β-ラクタマーゼ産生グラム陰性菌(ESBLs産生GNB)による菌血症に対する,抗菌薬の治療期間と治療アウトカムの関連は不明であり,十分に確立されていない。本検討の目的は,これらの関連性について明らかにすることである。主要評価項目は,抗菌薬の治療期間と治療アウトカム(30日以内死亡と菌血症の再発)の関連性とした。単施設後方視的観察研究での検討を行い,ESBLs産生GNB菌血症の87症例を評価した。これらの症例では,有効な抗菌薬による治療後30日以内の死亡は2例(2%),菌血症の再発症例は5例(6%)であった。有効な抗菌薬による治療期間が10日以下は,有効な抗菌薬による治療後30日以内死亡との関連性を認めなかった(P=0.35)。一方,有効な抗菌薬による治療期間が10日以下は,菌血症の再発との関連性を認めた(P=0.049)。結論として,ESBLs産生GNB菌血症の患者において,10日以下の抗菌薬治療期間が菌血症の再発と関連していることが示唆された。

Key word

extended-spectrum β-lactamase, Gram-negative bacteria, bacteremia, mortality, recurrent

別刷請求先

大阪府大阪市中央区法円坂2-1-14

受付日

2019年10月11日

受理日

2020年4月20日

日化療会誌 68 (4): 539-546, 2020