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書誌情報

Vol.68 No.5 September 2020

原著・臨床

経尿道的尿路結石除去術後尿培養の意義

大槻 英男, 堀 俊介, 児島 宏典, 松井 幸英, 青木 洋, 山崎 智也, 藤尾 圭

我孫子東邦病院泌尿器科

要旨

 目的:経尿道的尿路結石除去術(URSL)後の発熱性尿路感染症(fUTI)の発生因子と術後採取された尿培養の有用性を検討する。
 対象と方法:2016~2017年に我孫子東邦病院で行われたURSL全例に,術後1日目に尿培養検査を行った303例を対象とした。術後尿培養は術翌朝に尿道カテーテルから採取し,菌量が1×104 CFU/mL以上のものを陽性とした。患者背景,臨床経過,周術期データ,尿培養分離菌,使用抗菌薬とfUTIとの関連を後方視的に検討した。
 結果:303例中,術後fUTIは33例(10.9%)に発生し,術前fUTI,腎結石,大きな結石サイズ,不完全抽石が術後fUTI発生リスクであった。術後尿培養陰性例においても併存疾患を有する患者群では術後fUTIのリスクが有意に高かった。術後尿培養は17例(5.6%)において陽性で,術前尿培養が陰性であったのは6例,術前尿培養陽性は11例で,術前後で同一菌種が同定されたのは5例であった。術後尿培養陽性例のうち術後fUTIを発症したのは5例(29.4%)で,術後尿培養陰性例における術後fUTI発生率(9.8%)に比較して有意に高かった。fUTIを来した5例中4例は術後に残石があり,残石のあった7例中,fUTI発症は4例であった。
 結語:URSL術後尿培養は5.6%の症例において陽性で,術後尿培養陽性例での術後fUTIは29.4%に発症し陰性例に比して有意に高率であった。術後尿培養は術後ルーチン検査として行う必要性は高くないと考えるが,術後fUTIリスク症例(腎結石,術前のfUTI,大きな結石サイズ,不完全抽石,併存疾患を有する患者)においては行う価値はあると思われる。

Key word

urine culture, urolithiasis, ureterorenoscopic lithotripsy, postoperative infection, antimicrobial agent

別刷請求先

千葉県我孫子市我孫子1851-1

受付日

2019年11月22日

受理日

2020年6月3日

日化療会誌 68 (5): 576-583, 2020