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書誌情報

Vol.68 No.5 September 2020

原著・臨床

血液培養汚染に対する1%クロルヘキシジンアルコールの有用性についての検討

菅原 隆文1), 吉川 明良1), 洲山 佳寛1), 中野 葵1), 竹内 哲也2), 妹尾 和憲3), 岡本 良一4), 開 浩一1)

1)広島市立広島市民病院薬剤部
2)同 看護部
3)同 救急科
4)同 総合診療科

要旨

 感染症診断において血液培養検査は起因菌同定のために重要な役割を果たしている。広島市立広島市民病院(以下,当院)では,血液培養検査時の汚染率低減を期待し,2019年4月より血液培養採血マニュアルを改定し,使用する消毒薬を10%ポビドンヨード(PVP-I)から1%クロルヘキシジングルコン酸塩アルコール(CHG-AL)に変更した。対象は2018年4月から2020年3月に当院で血液培養検査を実施した症例とし,2018年4月から2019年3月を改定前,2019年4月から2020年3月を改定後と定義し,汚染率を比較した。同日に複数セットの血液培養検査を実施した症例で,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS),Propionibacterium acnesMicrococcus属,Viridans-group streptococci,Corynebacterium属,Bacillus属,Clostridium属が1セットのみ検出した場合を汚染と定義した。また,血液採取を行う看護師にアンケートを行い,消毒薬変更による血液培養検査への影響を調査した。対象期間中の血液培養のべ症例数は,改定前3,681例,改定後3,971例であった。汚染率は,改定前の3.45%と比較し,改定後では1.71%と有意に低下した。菌種別の汚染率は,CNS,Bacillus属で改定後に有意に低下した。アンケートは有効回答数187枚を解析し,PVP-I塗布後の乾燥時間の必要性を79.7%が理解している一方で,遵守できなかった場合があると思うと70.6%が回答した。また,使用する消毒薬は,CHG-ALが望ましいと57.8%が回答した。今回の結果から,血液培養検査時に使用する消毒薬を10%PVP-Iから1%CHG-ALへ変更することにより,血液採取を行う医療従事者の負担を増加させることなく,汚染率を低減させることができたと考えられた。

Key word

blood culture, contamination, coagulase-negative staphylococci, Clostridium, chlorhexidine alcohol

別刷請求先

広島県広島市中区基町7-33

受付日

2020年5月13日

受理日

2020年7月10日

日化療会誌 68 (5): 584-589, 2020