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書誌情報

Vol.69 No.1 January 2021

原著・臨床

抗菌薬適正使用支援チームによるカルバペネム系薬を対象とした処方後のモニタリングとフィードバックが処方動向に与える影響の検討

長友 安弘1), 前田 真之2), 内藤 結花3), 服部 はるか3), 詫間 隆博1), 二木 芳人1), 時松 一成1)

1)昭和大学医学部内科学講座臨床感染症学部門
2)昭和大学薬学部臨床薬学講座感染制御薬学部門
3)昭和大学薬学部病院薬剤学講座

要旨

 カルバペネム系薬は幅広いスペクトルの抗菌活性を有しており,重症感染症における経験的治療に用いられる。薬剤耐性および適正使用の観点から,感受性の細菌が同定された場合,狭域スペクトルの抗菌薬への変更を推進し,長期投与を防ぐことが重要である。そこで,2017年7月から抗菌薬適正使用支援チーム(antimicrobial stewardship team;AST)はカルバペネム系薬の処方に対して連日の処方後のモニタリングとフィードバック(post-prescription review and feedback;PPRF)を開始した。本研究では,カルバペネム系薬の適正使用を目的としたASTによるPPRFの効果を評価するために,介入前(2016年7月~2017年6月)と介入後(2017年7月~2018年6月)の処方動向を明確に定義して検討した。AST介入前後期間にカルバペネム系薬が処方された患者は合計2,685例(介入前1,335例,介入後1,350例)であった。ASTの主な介入は,処方医に対して直接または電話連絡による処方目的の確認(976/1,350)および投与中止または他の抗菌薬への変更の推奨(720/1,350)であった。その結果,狭域スペクトルのβ-ラクタム系薬への変更割合が,AST介入後に有意に増加した(7.0% vs. 13.0%;P<0.001)。以上より,ASTによる連日のPPRFは,カルバペネム系薬から狭域スペクトルの薬剤への変更を推進することで,カルバペネム系薬の適正使用に寄与できることが示された。

Key word

carbapenem, antimicrobial stewardship team, defined daily dose

別刷請求先

東京都品川区旗の台1-5-8

受付日

2020年6月26日

受理日

2020年10月19日

日化療会誌 69 (1): 1-7, 2021