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書誌情報

Vol.69 No.1 January 2021

市販後調査報告

腸管アメーバ症に対するparomomycin sulfateの安全性と有効性―使用成績調査―

勝浦 雅士1), 杉山 典子2), 内堀 恵里子2), 小山 卓己2), 杉本 奈扶美1)

1)ファイザーR&D合同会社市販後調査企画マネジメント部
2)同 バイオメトリクス・データマネジメント統括部

要旨

 Paromomycin sulfate(アメパロモカプセル250 mg,以下,本剤)は,2012年12月に「腸管アメーバ症」を効能・効果として承認された。製造販売後の使用実態下における本剤の安全性および有効性を検討する目的で,使用成績調査を実施した。安全性解析対象集団115例の男女比は約9:1で,平均年齢は約47歳であった。副作用は15例に15件認められ,副作用発現割合は13.04%(15/115例)であった。15例に発現した副作用は,いずれも下痢であり,その転帰は消失・回復(14例)または軽快(1例)であった。重篤な副作用は認められなかった。また,使用上の注意から予測できない副作用(未知の副作用)は認められなかった。シスト解析対象集団53例で観察期間終了後のシスト陰性は52例,陽性は1例であり,シスト陰性率は98.1%であった。臨床評価解析対象集団106例での観察期間終了時の有効性評価は,有効99例,無効1例および判定不能6例であった。前治療薬が有効であった後に本剤へ切り替えた症例において,シスト陰性率は100.0%(陰性44例,陽性0例,および判定不能0例)であり,有効性評価は,有効85例,無効0例および判定不能5例であった。一方,前治療薬が無効であった後に本剤へ切り替えた症例は2例で,そのうち1例のシストは陽性であり,有効性評価は無効であった。これらのことから,前治療薬が有効であった症例に対しては,本剤も十分効果が認められることが確認された。これらの成績は腸管アメーバ症に対する現在の治療方針を支持していると考えられる。以上,腸管アメーバ症に対する本剤の安全性および有効性について,新たな注意喚起を要する特記すべき事項は認められなかった。

Key word

paromomycin, post-marketing surveillance, intestinal infection, amebiasis, Entamoeba histolytica

別刷請求先

東京都渋谷区代々木3-22-7

受付日

2020年5月28日

受理日

2020年10月29日

日化療会誌 69 (1): 13-23, 2021