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書誌情報

Vol.69 No.4 July 2021

短報

がん専門病院での医薬品管理を応用したCOVID-19症例の受け入れ体制構築

佐野 智望1, 2), 塩塚 美歌1), 小林 治1), 山口 正和2), 岩田 敏1)

1)国立がん研究センター中央病院感染制御室
2)同 薬剤部

要旨

 COVID-19発症者の増加に伴い,東京都からがん専門病院である国立がん研究センター中央病院に対するCOVID-19病床確保の要請があり,これに応じた。受け入れに際して,当院は行政・医療連携,COVID-19診療,がん診療,医療資源管理,職員勤務・健康管理,院内導線・入外区分け,の6つのワーキンググループ(WG)を立ち上げ,COVID-19診療とがん診療との両立を目指した。WGでは,中等症23床・重症2床のCOVID-19専用病棟の設置,COVID-19診療班と感染制御室との連携による「COVID-19診療マニュアル」を作成した。薬剤部ではCOVID-19専用病棟の病棟業務として,持参薬確認のフローを作成した。またfavipiravir,およびciclesonideの処方にあたってcompassionate useとして対応するために「適応外使用申請」および「患者限定使用申請」の審査,承認が薬事委員会にて行われた。加えて,感染症専門医ではない医師が処方を行うため,医薬品情報管理室にてマスター作成の適正化,処方オーダーのセット化を行い,処方間違いがないように配慮した。当院で初めてCOVID-19感染症患者を受け入れたが,これまでのがん診療で構築した院内における薬品供給の仕組みを応用し,適切な用法用量で治療ができたので報告する。

Key word

COVID-19, favipiravir, ciclesonide, compassionate use, hospital pharmacy

別刷請求先

東京都中央区築地5丁目1-1

受付日

2020年12月1日

受理日

2021年3月3日

日化療会誌 69 (4): 329-333, 2021