Vol.69 No.4 July 2021

短報

腸内細菌科細菌血液培養陽性患者に対するAntimicrobial Stewardship Team専従薬剤師の介入効果の検証

宿利　美香^1）, 笹野　央^1）, 吉澤　寿宏^1）, 松本　博志^1）, 青嶋　瑞樹^1）, 畦地　拓哉^1）, 川上　剛明^2）, 長南　正佳^2）, 佐藤　邦義^1）, 荒川　隆太郎^1）, 内藤　俊夫^3）

^1）順天堂大学医学部附属順天堂医院薬剤部^＊
2）同　臨床検査部
^3）順天堂大学医学部総合診療科学講座

要旨

　Extended-spectrum β-lactamase（ESBL）産生菌やcarbapenem-resistant Enterobacteriaceae（CRE）などの薬剤耐性菌が世界中で増加しており，Antimicrobial Stewardship（AS）の推進が求められている。ASの実施体制として，薬剤師を含むAntimicrobial Stewardship Team（AST）が感染症治療を担うことが求められている。順天堂大学医学部附属順天堂医院では，2018年11月よりASTの専従者として感染制御専門薬剤師を配置した。今回，腸内細菌科細菌の血液培養陽性患者を対象に，専従薬剤師配置前後の介入に対する受諾率を比較し，AST薬剤師専従化によるAS推進効果を検証した。薬剤師専従化後では，「腎機能に応じた投与量の提案」における受諾率が有意に上昇し，感染症患者の治療期間を短縮させた。薬剤師が院内マニュアルに基づき患者に適した投与量の処方支援を行ったことが要因と考える。ASTの専従者として薬剤師を配置することは，感染症治療の質を向上するために有用である。

Key word

antimicrobial stewardship team, bacteremia, Enterobacteriaceae

別刷請求先

^＊東京都文京区本郷3-1-3

受付日

2020年9月10日

受理日

2021年4月26日

日化療会誌 69 (4): 334-340, 2021