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書誌情報

Vol.69 No.5 September 2021

短報

AST薬剤師のパス介入活動に対する診療科受諾率に及ぼすガイドラインの影響

馬場 安里1, 2), 中川 博雄1, 2), 今村 政信1, 2), 赤松 隼人1, 2), 福重 友理1, 2), 田代 将人2), 田中 健之2), 兒玉 幸修1), 室 高広1), 泉川 公一2), 佐々木 均1)

1)長崎大学病院薬剤部
2)同 感染制御教育センター

要旨

 2016年に『術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン』(以下,GL)が発行された。長崎大学病院では2012年から診療科が申請したクリニカルパス(以下,パス)に対して,抗菌薬適正使用支援チーム(AST)薬剤師がGL等に準じて修正を提案し,周術期抗菌薬の適正化を図ってきた。これまでAST薬剤師の提案に対する診療科の受諾可否の背景に,GLの有無が影響しているか調査した報告はない。そこで2016年度から2019年度の抗菌薬を含むパスに対する提案の受諾率についてGLの影響を調査した。承認されたパスは129個あり,AST薬剤師が71個に82件の修正を提案し,診療科の受諾率は60%(49件)であった。GLありの場合の受諾率はGLなしの場合よりも高く,GLによる推奨は周術期抗菌薬の適正化に効果があると考えられた。GLありであっても受諾率は63%にとどまっていたが,一因として薬剤師がパス名称から予測した術式と実際が異なり,診療科が術後感染の現状を考慮して受諾されなかったと考えられ,不適切と判断されるものは少なかった。今後は術式の詳細をさらに確認したうえで介入を行う必要がある。

Key word

guideline, clinical pathway, antimicrobial, appropriate use, acceptance rate

別刷請求先

長崎県長崎市坂本1-7-1

受付日

2021年3月18日

受理日

2021年7月9日

日化療会誌 69 (5): 383-386, 2021