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書誌情報

Vol.70 No.4 July 2022

原著・基礎

北海道におけるAspergillus属に対する抗真菌薬のMIC,MEC分布~自家製プレートおよび市販酵母様真菌薬剤感受性キットを用いた検討

八鍬 佑貴1), 鳴海 菜月1), 佐藤 勇樹1), 佐伯 理知1), 韮澤 慎也1), 藤谷 好弘2, 3), 髙橋 聡1, 3)

1)札幌医科大学附属病院検査部
2)北海道立衛生研究所感染症センター
3)札幌医科大学医学部感染制御・臨床検査医学講座

要旨

 北海道におけるAspergillus属48株のamphotericin B(AMPH-B),itraconazole(ITCZ)およびvoriconazole(VRCZ)のMIC分布,micafungin(MCFG)のMinimum Effective Concentration(MEC)分布をClinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)法にて調べ,市販の酵母様真菌薬剤感受性キットが本菌にも転用可能かを併せて検討した。CLSI法で感受性を調べた結果,MIC50/MIC90μg/mL)は,AMPH-B;1/2,ITCZ;0.5/1,VRCZ;0.5/1,MCFGのMEC50/MEC90μg/mL)は0.0078/0.015であった。このうちA. fumigatus 1株(3.6%)は,ITCZとVRCZのMICが≥16 μg/mL,2 μg/mLを示しNon-Wild-Type(NWT)に分類され,2剤に対する耐性獲得が示唆された。また,CLSI法,酵母様真菌DP‘栄研’(DP)および酵母真菌薬剤感受性キットASTY(ASTY)による感受性を比較したところ,DP,菌の発育を指標としたASTYともに±2管差内ですべて一致した。さらにCLSI法でITCZおよびVRCZに対しそれぞれNWTに分類された1株は,DPとASTYいずれもNWTに分類され一致した結果であった。3法間の比較では,VRCZの判定において1株がDPでNWT,CLSI法とASTYでWTに分類されたのみだった。以上より,これらキットは本菌にも転用可能と考えられた。

Key word

Aspergillus spp., antifungal susceptibility testing, clinical and laboratory standards institute

別刷請求先

北海道札幌市中央区南1条西16丁目291番

受付日

2021年10月20日

受理日

2022年5月9日

日化療会誌 70 (4): 351-358, 2022