ページの先頭です
ホーム > バックナンバー > 目次 > 書誌情報
言語を選択(Language)
日本語(Japanese)English

書誌情報

Vol.70 No.4 July 2022

原著・臨床

Extended-spectrum beta-lactamase産生Escherichia coli菌血症におけるcefmetazoleから経口抗菌薬への切り替えの有効性

高橋 賢史1), 上村 祐介1), 足立 祐貴2)

1)出雲市民病院家庭医療科
2)同 医局秘書課

要旨

 背景:Extended-spectrum beta-lactamase(ESBL)産生腸内細菌科細菌菌血症に対するcefmetazole(CMZ)の有効性を示した報告が出されているが,ESBL産生E.coli菌血症に対するCMZ初期治療・さらに静注抗菌薬から内服抗菌薬への切り替え療法に関するエビデンスは調べる限りなかった。今回,ESBL産生E.coli菌血症に対するCMZ初期治療・さらに静注抗菌薬から内服切り替え療法の効果を調査した。
 材料と方法:単施設による後方視調査とした。ESBL産生E.coli菌血症に対してCMZ初期治療を実施した成人患者を対象とし,30日以内の死亡率を調査した。
 結果:1,064名に血液培養検査を実施し129名の成人患者よりE.coliが単独で検出され,ESBL産生E.coli菌血症患者は62名,そのうちCMZ初期治療が実施されたのは44名であった。発症後24時間以内の死亡2名を除外し42名を分析した。CMZの投与期間中央値[四分位範囲]は10日間[7,14]であった。30日以内の死亡率は4.8%であり,さらにCMZ初期治療から内服切り替えを行った22例の死亡率は0%であった。内服切り替えを行った場合のCMZ投与期間中央値は7日間[6,10]であった。
 考察:ESBL産生E.coli菌血症に対するCMZ初期治療は有効と考えられ,さらにCMZ投与期間を短縮し内服切り替えを行うことも可能と考えられる。

Key word

extended-spectrum beta-lactamase, Escherichia coli, bacteremia, cefmetazole, oral switch therapy

別刷請求先

島根県出雲市塩冶町1536-1

受付日

2021年11月8日

受理日

2022年4月7日

日化療会誌 70 (4): 359-365, 2022