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書誌情報

Vol.70 No.6 November 2022

短報

外来の急性下痢症に対する経口抗菌薬の適正使用に向けた医師への教育効果

佐原 祥子1, 2), 木下 照常2), 柴田 大地2), 石原 歩実2), 國遠 孝斗2), 正木 猛史2), 滝本 典夫2), 岡 圭輔3)

1)刈谷豊田総合病院安全環境管理室
2)同 薬剤部
3)名古屋大学医学部附属病院中央感染制御部

要旨

 細菌の薬剤耐性化は世界的な問題となっており,適正使用が薬剤耐性菌対策の重要な役割を担っている。日本国内で示された薬剤耐性アクションプランでは経口抗菌薬の使用量を減少させることがうたわれており,診療報酬改定にて外来における急性気道感染症および急性下痢症に対する経口抗菌薬の使用状況把握が義務づけられた。当院における外来の経口抗菌薬の使用状況を調査したところ,救急外来において急性下痢症に対するfosfomycin(FOM)の処方が慣例的に行われていることが判明し,抗菌薬適正使用に向けた介入が必要であると考えられた。今回消化器内科と協働し救急外来診療に携わる医師に向けて,厚生労働省が発行している「抗微生物薬適正使用の手引き第二版」に準拠した急性下痢症の治療についての教育を行った。その結果,経過不良による再診や入院を増加させることなく,FOMの処方件数は介入前30.0%(90件/300件)から介入後には4.5%(11件/244件)へ大きく減少した(p<0.01)。抗菌薬適正使用にむけた医師への教育を実施することは急性下痢症の治療の最適化につながると考えられた。

Key word

antimicrobial stewardship, acute diarrhea, outpatient

別刷請求先

愛知県刈谷市住吉町5-15

受付日

2022年7月25日

受理日

2022年10月6日

日化療会誌 70 (6): 460-465, 2022