Vol.71 No.1 January 2023
原著・臨床
抗微生物薬の用法・用量における適応外使用に対する適正化支援の取り組み
1)東京女子医科大学病院薬剤部*
2)順天堂大学医学部附属順天堂医院薬剤部
3)東京女子医科大学病院総合感染症・感染制御部感染症科
4)国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンター
要旨
抗微生物薬は発売以降に,より適切な使用方法や承認外の微生物にも有効であることが明らかになる場合があり,添付文書の用法・用量と相違が生じ,適応外となる場合がある。東京女子医科大学病院では,2017年6月に未承認・禁忌・適応外等評価委員会を発足し,抗微生物薬の適応外使用管理の一環として状況把握・評価・申請等の取りまとめを行った。2017年6月から2021年12月までに審議された全適応外薬のうち495件(承認率:87.3%)が承認された。承認された適応外薬の上位20薬効分類のうち3つが抗微生物薬であった。また2020年1月時点で採用のあった抗微生物薬の添付文書と国内外ガイドライン等各資料の用法・用量に相違を認めた薬剤は20製剤あり,採用している抗微生物薬の約19.2%を占めた。薬剤耐性を回避するために不要な抗菌薬処方を避けることは重要であるが,効果が期待できる十分な用法・用量を使用できる環境を整備することも必要である。
Key word
drug information, off-label use, drug resistance, package insert, antimicrobial stewardship
別刷請求先
*東京都新宿区河田町8-1
受付日
2022年5月19日
受理日
2022年11月4日
日化療会誌 71 (1): 99-105, 2023