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書誌情報

Vol.71 No.3 May 2023

原著・臨床

地域医療支援病院における抗菌薬適正使用支援チームへの薬剤師専従化による抗菌薬適正使用の影響調査

丸山 浩平1, 2), 森谷 宏光2, 3), 細谷 智2, 4), 関谷 潔史2, 5), 福元 大介2, 6), 安田 秀平2, 7), 佐藤 美咲1, 2), 鈴村 史帆1, 2), 勝海 学1)

1)相模原病院薬剤部
2)同 抗菌薬適正使用支援チーム
3)同 外科
4)同 救急科
5)同 アレルギー呼吸器科
6)同 看護部
7)同 臨床検査科

要旨

 世界的に薬剤耐性が問題となっており,各医療機関における抗菌薬適正使用支援(AS)が求められている。2021年10月,相模原病院(以下,当院)は抗菌薬適正使用の推進を目的として,薬剤師を抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の専従とした。専従後から広域抗菌薬投与患者への連日の処方後のモニタリングとフィードバック(PPRF)を開始した。当院のような地域医療支援病院でのASTへの薬剤師専従化による影響の報告は限られており,本研究は,ASに関する支援状況と抗菌薬の使用状況への影響を明らかにすることを目的とした。
 本研究では,専従前の2021年4月~2021年9月と専従後の2021年10月~2022年3月における支援状況,抗菌薬使用状況,緑膿菌耐性率,CDI発生率などを比較した。
 その結果,専従前群と専従後群の広域抗菌薬の治療期間は,専従前群が7日[5~10日],専従後群が6日[4~9日]と,有意に短かった(p<0.05)。また,長期投与症例の割合も,専従前群が13.4%,専従後群が6.8%と,有意に少なかった(p<0.05)。ASに関する支援率は,専従前群が9.7%,専従後群が33.4%と,有意に高かった(p<0.001)。抗菌薬治療日数(DOT)は,メロペネム,タゾバクタム/ピペラシリン,フルオロキノロン系はいずれも,専従前と比較し,有意に短かった(p<0.05)。広域抗菌薬および非広域抗菌薬の合計使用金額は,半年間で2,832,345円減少した。さらに,入院患者日数あたりのCDI発生件数の有意な減少を認めた(p<0.05)。
 本研究の結果から,地域医療支援病院において,ASTに薬剤師を専従化し,広域抗菌薬投与患者へのPPRFを連日行うことで,ASに関する支援率が増加し,抗菌薬使用量減少が期待できることが示唆された。一方で,ASの効果の程度は,医療機関の規模・設備や抗菌薬の使用状況による影響も大きいため,各医療機関におけるASTへの薬剤師専従化による効果を集積・評価していくことが必要である。

Key word

antimicrobial stewardship team, postprescription review with feedback, full-time equivalent, broad spectrum antibacterial agents

別刷請求先

神奈川県相模原市南区桜台18-1

受付日

2023年1月13日

受理日

2023年3月7日

日化療会誌 71 (3): 311-325, 2023