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書誌情報

Vol.71 No.6 November 2023

短報

薬剤師主導によるCOVID-19の発症抑制を目的としたtixagevimabおよびcilgavimab投与における迅速な体制構築

髙野 春樹1, 2), 山本 久史3), 石田 景子2, 4), 内田 直之3), 伊藤 忠明1), 荒岡 秀樹2, 4)

1)国家公務員共済組合連合会虎の門病院薬剤部
2)同 感染対策チーム
3)同 血液内科
4)同 臨床感染症科

要旨

 TixagevimabおよびcilgavimabはSARS-CoV-2に感染し回復した患者により提供されたB細胞に由来する長時間作用型抗体であり,COVID-19の治療および発症抑制を目的に開発された。日本においては2022年8月に特例承認された。
 本薬剤は厚生労働省が保有したうえで発症抑制目的に限って供給され,虎の門病院においては,血液悪性腫瘍患者を中心として多くの患者が対象となることが想定された。
 投与を円滑に進めるためには部署横断的な連携が不可欠と考えられたため,感染対策チームの専従薬剤師1名が中心となり診療科,看護部,薬剤部,事務部門等,関係部署と協働して特例承認後早期に体制構築を行った。2023年2月末時点で352名(入院149名,外来203名)に投与を行い,厚生労働省が公表している使用状況と比較すると,2022年11月時点で東京都全体の11.5%,同12月時点で13.6%を当院が占めていた。多数の患者に迅速かつ安全に投与を進めることができ,今回の取り組みは本薬剤のみならず今後の新興・再興感染症に対する特例承認薬のように迅速かつ安全な投与が求められる新規薬剤の運用を検討するうえでも有用であると考えられた。

Key word

COVID-19, tixagevimab, cilgavimab, neutralizing antibodies

別刷請求先

東京都港区虎ノ門2-2-2

受付日

2023年4月5日

受理日

2023年7月14日

日化療会誌 71 (6): 571-575, 2023