ページの先頭です
ホーム > バックナンバー > 目次 > 書誌情報
言語を選択(Language)
日本語(Japanese)English

書誌情報

Vol.71 No.6 November 2023

短報

外来経口抗菌薬使用量調査におけるJ-SIPHEデータの有用性検証と評価方法の探索

田沼 道也1), 櫻井 隆之2), 田中 昌代1)

1)NTT東日本関東病院薬剤部
2)同 感染症内科

要旨

 入院患者に対する抗菌薬使用の指標には主にDefined daily dose(DDD)を用いた集計が推奨され,感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)を用いることで値が自動計算される。一方,外来抗菌薬の集計方法は定まっていない。また,J-SIPHEデータも使用量と処方件数,処方患者数に限定されており,外来抗菌薬調査にJ-SIPHEを用いた報告はない。そこで本研究では,J-SIPHEデータと実使用量より,年間使用量(g)とDDDを外来患者数で補正した値(DOD)を算出し,薬剤ごとの乖離率を評価した。また,指標の探索としてJ-SIPHEを使用しDOD,処方件数,処方患者数の年次推移の傾向を比較した。
 結果,実使用量とJ-SIPHE値との差は使用量で全薬剤の81.8%,またDODでは全薬剤の86.4%が中央値で10%以内であった。また,経時変化の傾向比較では,DODは処方件数や処方患者数と傾向が異なっていた。
 J-SIPHEは各施設の乖離状況を把握したうえで使用することで有用なデータとなる。また,DODは診療制限等の処方機会の変動の影響にも耐えうる指標となると考えられる。

Key word

oral antibacterial agents, Japan Surveillance for Infection Prevention and Healthcare Epidemiology, outpatient

別刷請求先

東京都品川区東五反田5-9-22

受付日

2023年4月19日

受理日

2023年9月1日

日化療会誌 71 (6): 576-581, 2023