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書誌情報

Vol.72 No.1 January 2024

原著・臨床

薬剤師主導のAntimicrobial stewardshipが化膿性脊椎炎のアウトカムに与える効果

西村 さやか1, 2), 佐野 俊広3), 橋元 球一4), 藤近 拓弥1, 2), 岡本 亜英1, 5), 高野 律子1, 6), 山中 伸悟1, 7), 川村 昌史5, 7)

1)高知県立幡多けんみん病院AST
2)同 薬剤科
3)須崎くろしお病院整形外科
4)高知県立幡多けんみん病院整形外科
5)同 感染管理室
6)同 検査科
7)同 内科

要旨

 当院は感染症専門医が不在であるために,2016年より感染制御認定薬剤師を中心としたAntimicrobial stewardship(AS)を開始した。さらに,2020年からは整形外科とAntimicrobial stewardship teamによる感染症カンファレンスを開始している。カンファレンスでは整形外科で診療している感染症例について,治療レジメン・治療期間の提案や副作用モニタリングを治療完遂まで行っている。これまで薬剤師主導のASは血液培養陽性患者への効果や細菌の耐性率改善の報告があるが,診療科に特化したカンファレンスによるアウトカムへの効果についての報告はまだない。そこで,薬剤師主導のASが,化膿性脊椎炎のアウトカムに与える効果について調査した。対象は2012~2022年に当院整形外科で診療した化膿性脊椎炎・化膿性椎間板炎・化膿性椎間関節炎とし,AS開始前の第1期,カルテラウンドのみを実施した第2期,感染症カンファレンスを実施した第3期の3群で比較した。評価項目は培養検体数・原因菌同定率・心エコー実施率・死亡率・再発率・入院日数・治療日数・抗菌薬使用状況とした。血液培養提出率は第3期で100%となり,一人当たりの培養提出数はAS開始後増加した。治療期間はAS開始後有意に短縮し,第3期は第1期と比較するとおおよそ半分に短縮した。

Key word

antimicrobial stewardship, vertebral osteomyelitis, appropriate antimicrobial use, days of treatment

別刷請求先

高知県宿毛市山奈町芳奈3-1

受付日

2023年7月26日

受理日

2023年10月16日

日化療会誌 72 (1): 17-25, 2024