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書誌情報

Vol.72 No.2 March 2024

原著・臨床

COVID-19パンデミックが抗菌薬使用量に及ぼす影響についての検討:感染症指定医療機関での単施設後方視的研究

陳内 博之1), 奥山 友香里1), 安田 陽子1), 津吹 澄1), 沖田 直美1)

1)東京都立荏原病院薬剤科

要旨

 東京都立荏原病院は第一種および第二種感染症指定医療機関としてCOVID-19流行初期より患者を受け入れている。流行初期は無症状や軽症患者が大部分を占めていたが,感染拡大とともに入院時より酸素需要を認める患者も増え,2021年1月には新型コロナウイルス感染症重点医療機関になり,入院患者に占めるCOVID-19患者の割合は大きく変化している。そこで,COVID-19患者の入院が抗菌薬使用量にどのような影響を与えるかを調査した。
 2020年と2021年の入院患者に占めるCOVID-19患者と重症COVID-19患者,2019年から2021年までの注射用抗菌薬の使用量を調査し,各年を比較した。なお,注射用抗菌薬は全注射用抗菌薬,抗緑膿菌薬,抗MRSA薬,AWaRe分類のAccess薬に分けた。COVID-19患者と重症COVID-19患者の割合は2021年に増加していたが,抗緑膿菌薬と抗MRSA薬の使用量はパンデミック前後で有意差を認めなかった。また,COVID-19患者割合と全注射用抗菌薬およびAccess薬の間に強い負の相関が,抗緑膿菌薬との間に弱い負の相関を認めた。
 COVID-19流行下において,全注射用抗菌薬の使用量は減少し,特にCOVID-19患者割合と抗菌薬使用量に負の相関を認めた。重症患者が増加した2021年においても抗緑膿菌薬や抗MRSA薬の使用量は増加しなかった。

Key word

COVID-19, antimicrobial consumption, antimicrobial resistance, co-infection

別刷請求先

東京都大田区東雪谷4-5-10

受付日

2023年6月21日

受理日

2023年11月20日

日化療会誌 72 (2): 141-147, 2024